えらいすんまへん、どんつきで三角座り

自分で云うのも何ですが全然タメにならないブログです

いかないで

風は海の方から吹いていた。

日本海特有の、遠くで聞こえる海鳴りは、胸に染み込み、崖から見下ろす黒い波飛沫の音が耳を打った。

 

ふいに、家を出る時、背中で聞いた女房の言葉が蘇った。

   どこ行くの?

 

返事もせずに飛び出したことが、今ごろになって後悔し始めてきたものの

 

どこへ行こうと勝手だろが

の怒りが込み上げるのも事実であった。

 

怒り。。。。

 

怒りと云えば、何もかもが怒りの毎日だ。

 

元旦から開いている百円ショップ。テレビリモコンの単四電池3本入パックを掴むやレジに向かったところ、びっくりするほど長蛇の列が出来ていた。ヘタすると15分待たねばならない。

諦めてコンビニ?

あ、いやいや。ここからコンビニへ行くには2、30分歩かねばならない。

仕方なく列の後ろに並ぶ。

 

お〜い、速くしたれや!ってな声も聞こえる中、ふとレジを見るならば、なんと

高校生らしき娘が、たったの独りでレジ対応しているでは無いか。

 可哀想に、バイトだろうけど、おそらく正月出勤のおハチが彼女に降りかかったのだ。

ここは彼女のため、我慢我慢。

 

そんなあれこれを考えているうち、ようやく2番目まで進む。

が、すぐ前のご婦人 ようやく番に来たところで、バッグを取り出しゴソゴソまさぐること数分。ようやくお目当てのガマ口を取り出すや、またもあれこれ、まさぐること数分。

でようやくガマ口から小銭・・・・小銭ならまだ許せるが、ご婦人が取り出したのは万札!

買い物かごには 一点のみ。すなわち 108円だけの買い物に一万円札!

それより何より、長蛇の列、並んでるうちに、財布ぐらい取り出す余裕、なんぼでもあっただろが!

 

そう怒鳴り上げたいところ、寸前で胸に収めたのだった。

 

日本海の荒波を見ているうち、平静心も取り戻せる気がした。

 

ふと、

こんな寂れた漁師街の駅前にも一軒の呑み屋 赤提灯がぶら下がっていたのを思い出した。

 

寒い夜、熱めの日本酒。

そして、あて。。。

あてはなんでも良い。

あ、いやいや、正月と云えばスルメ!じゃ無いか!

 

ガキの頃の正月を思い出す。

火鉢。

錆びた網。

真っ赤な練炭の炎。

そして苦しい息を吐きながら丸まりゆく姿のスルメ!

侘しい家の正月ではあったが、家族にとって何よりのご馳走だったのだ。

 

そう思うと、何が何でも無性にスルメが喰いたくなった。

まさかスルメが無いなんてあるわけねーよな。まさか、ここは漁師町だろが、あはは。。。

 

しばらく歩き、ようやく駅前銀座通りに出た。そして

赤提灯!

赤提灯が目に入ると子供の様に走り出す自分が可笑しい。

 

 

らっしゃい!

 

店内は2、3人の先客で盛り上がっていた。

 

お客さん、東京かえ?

 

はは、まさか関西ですわ。で熱燗、スルメを焼いてくれまっか。

 

すると女将の表情が曇った。

 

すんません

 

 

【イカないで】

 

 

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